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真庭市 市制施行20周年記念誌
「まち」と「ひと」のための【市役所】を目指して
【市役所】10年の動き
「真庭ライフスタイル」を達成するには、「ひと」と「まち」、そしてそれを支える「市役所」が一丸となって歩まなくてはなりません。しかし、「ひと」や「まち」が動き出すためには、まず「市役所」が最初に動き始めることが必要でした。これまで地域における「役所」の役割は、時代により大きく変遷していきました。明治期の町村役場は戸籍の管理と徴税が大きな役割でしたが、時代と共に町村役場の役割は増え、道路の新設・改修等の公共事業、さらには福祉と、その役割の幅を広げていきました。そして、平成の大合併。市役所は「ひと」と「まち」のための政策を考え、そして真庭市を未来につなげる経営責任が重視されることになりました。
そのための第一歩は「市役所」自身が変わることでした。このページ では、これまでの住民からの要望に対応する行政運営から、持続的な経営を目指す職員の意識改革と市役所自体の組織改革、そして市役所と市民の議論の中で形成されていった公共施設のあり方についてお伝えします。
(1)、市役所は運営から経営へ(自己改革)
真庭市誕生以降、職員・議員数の削減等が進められてきましたが、真庭ライフスタイルの時代になると、真庭市をどのような未来につなげるかが大きな課題になっていきます。市役所の役割が自治体「運営」から自治体「経営」へと変化していきます。そのために職員の政策能力の向上と行政機構の改革が進められました。
職員の政策立案能力の向上
職員の意識改革の最初の取組は事務事業を見直すことでした。事業評価の仕組みを導入し、過去の慣習にとらわれず、必要な事業の洗い出しを実行しました。2点目は職員が自らの業務達成目標を設定し、定期的に上司等との面談を行うことにより業務の改善・改革につなげていきました。
3点目は職員の意識改革です。各種研修の受講はもとより、国・県との人事交流を推進、さらにワークショップなどで市民と関わる場を積極的に増やし、多様な価値観があることを理解していきました。4点目は、理事者会の設置です。これまでの特別職や各部・局長による部局長会議を「理事者会」と改称。部・局長は単に自分の部署を統括するだけでなく、市の経営者であることを肝に銘じる意識改革を行いました。このような内部改革を継続的に行うことにより、政策立案能力の向上、さらに職員と市民の協働の仕組みを構築していきました。
以上のように、まず「市役所」内部の改革を進めながら、同時に「挑戦するまち」への支援、そして「活躍するひと」との協働を推進する組織体制へと変革されていきました。
行政機構の改革
井で市政の時代の行政改革も一定の役割を果たし、「市役所」も新しい時代に入っていきます。この時代に行われた行政機構の改組の中から主なものを列記します。
交流定住推進室(課)を設置/平成26年度(2014年度)
持続可能なまちづくりを進めるには「ひと」の力が必要です。地域に住む人の力を結集すると同時に、移住等を推進し新たな力を得ること、さらに市外の人との交流の中で新たな知恵を獲得することが大事でした。交流定住センターの設置も行い、「まち」との協働がスタートしました。
※令和6年度に地域みらい創生課に名称変更。
振興局を設置/平成27年度(2015年度)
地域振興を進めるため、これまでの支局を廃し、振興局を設置しました(蒜山地域は真庭市発足時に旧やつか・川上・中和を所管する振興局を設置済み)。各振興局には地域振興主管(まちづくり専任の職員)を配置し、振興局は地域を振興するところとの目的や権限を明確にしました。各地域の個性を生かしたまちづくりのスタートです。
産業政策課、林業・バイオマス産業課を設置/平成27年度(2015年度)
商工観光課を廃し産業政策課を置き、産業に関する政策立案を主業務としました。また、バイオマス政策課に林業部門を併合し、林業・バイオマス産業課を設置。バイオマス発電を加えた林業全体の回る経済の確立を推進することになりました。産業界と市役所の協議の時間が大幅に増え、お互いの距離が縮まっていくことになります。
※令和6年度に各部署のエネルギー関連部門を統合し、地域エネルギー政策課を設置。
未来杜/市(SDGs)推進室を設置/平成30年度(2018年度)
平成30年にSDGs未来都市に選定され、さらに真庭市全体でSDGsを推進するための推進室を設置しました。また、推進室はSDGsを市民運動として推進する役割も担っていくことになります。
※令和5年度に総合政策課に統合。
(SDGs)とは
平成27年9月の国連サミットにおいて採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)のことです。先進国を含む国際社会全体の開発目標として2030年を期限とする包括的な17の目標を設定し、成長・雇用、クリーンエネルギー、循環型社会、温暖化対策、生物多様性の保全、女性の活躍など、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むものです。
障害者支援推進室を設置 令和2年度(2020年度)
幼児期からの発達や発育、困りごとの相談、親子の通所による課題解決を図る総合機関を設置しました。「誰一人取り残さない」を合言葉に共生社会への第一歩を踏み出しました。
※令和4年度に障害者・児発達発育支援センターに改称。
(2)、新たな公共施設は市民との議論から生まれる
公共施設のあり方にも変化が生まれてきます。公共施設の老朽化に伴う維持管理コストの増大等とも相まって、合併後は、既に当初の目的を達成した施設の廃止や、多様な利活用が期待できる施設の地元への移管等が進められました。そして、この時期になると、どうすれば本来の機能を保ちつつ、市民のニーズに合致し、かつ合理的な施設経営ができるかが問われるようになってきました。
そこで議論が始まります。単なる要望ではなく、真庭市の一員であるとの自覚と責任をもった市民と、市民と共に歩む職員が、ワークショップや各種検討委員会(検討委員も地域や団体の代表だけではなく多様な市民が任命されていきます)で話し合い、その議論から新たな公共施設が生まれてきました。市役所は職員の執務する場所から市民の集まる場所へ、教育施設は子どもを教育する施設であると同時に地域の中核施設へと変貌していきます。
多くの市民が集まる場所へ
振興局に公共施設を集約化
市役所の出先機関は、これまで財政的見地から削減を進めてきましたが、市民との議論の中で、旧町村の地域内に分散していた公共施設を振興局内に集約させるという新たな方向が見えてきました。これにより振興局はいろいろな用事が一度で済ませられる便利な場所となり、さらには多くの市民が集まる場所へと変貌し、地域自治の拠点として生まれ変わっていきました。
落合地域では、平成28年(2016年)4月、落合公民館跡地に「落合総合センター」が新築オープンしました。振興局、公民館、図書館、保健福祉センター機能、さらに約300人収容可能なステージ機能をもった多目的室などがセンター内に集約され、施設の複合化の第一歩となりました。
勝山地域では、平成29年4月に真庭市の中心的文化施設である「勝山文化センター」に振興局機能や生涯学習機能が集約され、人が集まる場所としての利便性と魅力を増しています。なお、勝山振興局旧庁舎は中央図書館として再整備されました。
湯原地域では、令和2年4月、「湯原ふれあいセンター」が全面改修を終え、振興局、公民館、図書館、市民センターの機能を併せ持つ複合施設に生まれ変わりました。旧センターの大ホールは開放的空間にリニューアル、図書館は3倍に広げられ、新たに飲食イベントが開ける交流スペースを設けるなど、市民が集まり賑わう施設を目指しました。
蒜山地域では、平成31年、図書館機能が庁舎内に集約され、令和7年、敷地内に消防署蒜山 分署も移転しました。
美甘及び北房地域の振興局庁舎は、合併前にある程度の集約化が進んでおり、他地域の集約化に先鞭をつける形になっています。
話し合いにより
小・中学校は新たな配置へ
平成23年(2011年)、真庭市教育委員会では、小・中学校の適正配置実施計画を策定しました。その中で児童・生徒が互いに切磋琢磨し、たくましく生き抜くための確かな学力、豊かな心や社会性を育むため、適正な学校規模の配置を行うとの基本方針を定めました。
以来、小規模校は、保護者や地域住民との話し合いのうえ、隣接校との統合、廃校が進んでいきました。
北房地域においては、近隣の学校との統廃合ではなく、小学校4校の統合新設構想が検討されることになりました。行政と地域全体での検討会が複数回開催され、活発な意見が集約され、4小学校を統合、旧校舎を廃校とし、新小学校の建設が決まりました。
平成27年9月、住民、保護者、学校・園代表らが「北房地域新教育環境準備委員会」を設置。2年余り、25回の会合を重ねて新環境を生かした教育・保育のあり方をはじめ、校歌、校章、PTA組織、スクールバス運行計画などを話し合いました。
平成30年4月、4校を統合した新しい学校が誕生。校名は公募で「北房小学校」と決まりました。校舎は旧至道高校の跡地に新築。同一敷地内に、こども園と放課後児童クラブを併せ持つ新たな教育環境が整備されました。
平成31年4月、在校生が13人だった二川小学校が少人数教育を懸念する声もあり、湯原小学校と統合しました。決断にあたっては、「二川ふれあい地域づくり委員会」を中心に議論が展開され、残された校舎を住民と行政によって活用する方向が示され廃校が決まりました。旧校舎には令和4年、「二川みらいづくりセンター」が開設されるなど、新たな地域づくりの拠点として再スタートを切りました。
なお、すでに廃校になった他の学校施設の多くは地域の人たちの努力によりコミュニティ施設や宿泊施設、地域イベント会場、特産品加工場等へと再利用されていきました。
令和7年5月時点で小学校20校(1,889人)、中学校6校(982人)になっています。
木に包まれた北房小学校の新校舎
北房小学校の校舎とこども園の園舎には、CLT※など真庭産の木材を多用し、木の温もりがあふれる県内最大級の木造建築物となりました。総事業費約41億円は、合併前の平成16年度北房町の一般会計予算総額を超えるもので、合併のスケールメリットを生かした事業となりました。
CLT(直交集成板)とは
板の繊維方向が層ごとに直交するように積層接着した大型の木質構造材料のこと。
保育と幼児教育の融合
「こども園」の整備
合併前、真庭市域には旧町村ごとに保育園と幼稚園が混在していました。保育園は0さいから入園できますが、保育を目的にしているので、家庭で保育できる子どもは入園できません。また、幼稚園は教育機関なので、園児は家庭環境に左右されることなく小学校就学前の1~2年間入園できますが、教育時間終了後の午後保育が大きな課題となっていました。このような状況の中、共働き家庭の増加に伴い、保育時間が長い保育園の利用児童が増え、一方で幼稚園の入園希望者が減少しており、抜本的な制度改善を迫られる事態となっていました。
真庭市では、以上のような課題を解決するため、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ認定こども園の設置を進めていきました。
真庭市では、平成19年(2007年)から落合、美川、勝山の3園をこども園として開園していましたが、平成26年から、さらに全市てきにこども園化を進めていきました。
同年4月開園のやつかこども園は、保育園に幼稚園部を新設。市北部では最初に幼稚園機能を持つ施設になりました。平成28年4月開園の天の川こども園は、2幼稚園と1保育園を統合して新園舎を整備しました。
平成29年9月開園の久世こども園は、久世幼稚園に保育園機能を持たせ、園舎もそのまま活用して移行しました。平成30年4月開園の北房こども園は、北房地域の幼稚園3園と保育園2園を統合。同時に誕生した北房小学校の隣に新園舎を建て、小中学校と連携した新たな教育環境を整備しました。
令和3年までに、13園の公立こども園が開設されています。
本と出合う場所から「ひと」の集まる場所へ
図書館の「進化」
真庭市の図書館は、合併以降、勝山、久世、蒜山の3図書館と4公民館図書室(落合、北房、湯原、美甘)の体制で業務を行ってきました。平成27年(2015年)に「真庭市図書館基本計画」を策定し、蔵書管理などを行う図書館システムの導入や施設間の配送システムの運用、4図書室の図書館への変更、図書館司書の全小中学校への配置など、市全体としての図書サービスの整備を進めてきました。
一方で、各地区図書館を統括する「真庭市立中央図書館」の整備に着手し、平成30年7月、旧勝山振興局を改修して開館しました。
翌31年、「自動車文庫ブックるんまにわ」の巡回を開始。学校図書室を含めた全図書施設の司書等の人事管理(エスパス振興財団に業務委託を行っている久世図書館を除く)も中央図書館が行い、統一された運営が行われています。
中央図書館と6つの地区図書館は、平成21年にネットワーク化され、連携して予約や貸出、返却ができるようになりました。令和5年度には、学校図書室に蔵書管理システムを導入し、公共図書館システムと連携させることで、子どもたちが学校の図書室で公共図書館の本を受け取れるようになりました。全館の蔵書数は令和7年3月末で28万8,712冊となりました。
令和3年5月、市民の意見を集めて「図書館みらい計画」を策定。この中で「子どもの学びへの能動的な貢献」「地域資源の再評価と新たな価値の創出」などと共に「市民が繋がる地域交流拠点の創出」を業務の柱に据えました。これを受けて各館がワークショップやカフェ、講演会などを独自に企画し、多様な人々が集まる場所になっています。また、館内で生放送をする「図書館ラジオ」や「校歌研究室」「映画祭」「盆踊り」など市民と協働した活動が評価され、令和6年「Library/of the Year2024」の優秀賞に選ばれました。
トピックス
築37年の庁舎を再生
中央図書館は1階に一般向けフロアと飲食スペースなど、2階に児童向けフロア、3階に映像シアターや学習室などを設けました。地元産のヒノキを書架に、CLTを内壁に使用し、空調には木質ペレットボイラーを導入しました。
築37年の庁舎を、建て替えの60~70%のコストで新築同様によみがえらせ、かつ建物としての長寿化が図れたことが高く評価され、「公共建築賞優秀賞」「耐震改修優秀建築賞」などを受賞しています。
先進的な図書館活動に優秀賞
真庭市立図書館に「Library/of the Year2024」優秀賞を授与したのは、NPO法人「知的資源イニシアティブ(IRI)」(東京)です。全国の図書館等の先進的な活動を選考対象にしています。授賞理由には『図書館みらい計画を土台に、「あそび」の生まれる時間をだいじにしながら、「生き方」「考え方」「暮らし方」の学び合いを実践している』とあり、特に、統廃合校を含む市内の小中学校の校歌を卒業生とともに収集・整理・発信する「校歌研究室」や勝山高校生による「イチオシ本」展示の取組など、まちぐるみの活動が高く評価されています。
(3)、新たな公共施設は「まち」の魅力づくり
市民の生活を便利にするため進めてきた公共施設整備ですが、大きな曲がり角を迎えることになります。まず、上水道(簡易水道)については普及率がほぼ100%に達し、維持管理が業務の中心となりつつあります。下水道についても計画区域の見直しをするなど、人口減少社会を見据えてサイズダウンし、効率的な事業推進を行っています。また、市道についても新たな整備より維持管理が主体となってきました。
一方、市民の公共事業へのニーズは、便利な暮らしからまちの魅力づくりへと多様化していきます。公共事業がまちの魅力づくりに幅を広げていった新たな事業をお伝えします。
持続可能なまちづくりに向けて
グリーナブルヒルゼンの展開
令和3年(2021年)、蒜山三木ヶ原にグリーナブルヒルゼンがオープンしました。パビリオン棟「風の葉」、「蒜山ミュージアム」「ビジターセンター」「サイクリングセンター」で構成される建物群ですが、背後に蒜山三座、隣にヤマブドウ畑といった景観は、蒜山の新風景となっています。
この建物群は隈研吾氏の設計監修によるものですが、特に「風の葉」「蒜山ミュージアム」「ビジターセンター」は、東京オリンピック・パラリンピックに合わせ真庭産木材を使い民間企業が東京に建設したものを、真庭のランドマークにしようと真庭市が蒜山に移築しました。
グリーナブルはグリーン(緑)とサステナブル(持続可能)を組み合わせた造語。建物群のシンボル的存在である「風の葉」は高さが18メートル、真庭/産のCLTパネル360枚で構成され、パネルの間をくぐりぬける風が、蒜山が高原であることを実感させます。「蒜山ミュージアム」も同様にCLTで出来ており、主に現代アートを中心に展示する真庭市/初の美術館となっています。美術館に併設する「ビジターセンター」では、観光情報に加えオリジナル商品を販売するなど、まさに真庭市の情報発信拠点となっています。また「サイクリングセンター」の屋根には蒜山産の茅かやが葺かれ、里山再生の可能性を予感させます。
施設完成後の指定管理は地元団体でつくる株式会社グリーンズが行い、官民あげての事業となりました。さらに完成後は、森の芸術祭の会場になるなど真庭市の文化向上に大きく寄与していきます。以降、各種文化イベントが民間ベースで開催され、集客、真庭市の価値を高める情報発信に大きな役割を果たしています。
ひととまちを川が結ぶ
旭川・りんくるラインの整備
旭川でつながる勝山、久世、落合3地域は人口集積も高く連担しており、市街地としての役割を担っています。そのつながりや市民意識をさらに高めるため、3地域の中心を流れる旭川沿いに「かわのみち」を整備しました。「川の魅力を楽しみながら行き交う、まちの新しい人の流れをつくるみち」をコンセプトとし、旭川両岸の土手道などを利用して全長約25kmをサイクリング道路として整備、道沿いには真庭産材を使ったテーブルやベンチ、看板、あずまやを設けました。
愛称は公募で、3地域を「リンク」して「くるっ」と回るから「りんくる」とし、ゆっくりした移動ルートを「ライン」と表現し命名されました。
平成31年(2019年)4月にオープン。普段から住民の散歩や憩いの場に利用されているほか、サイクリングやウォーキング、街歩き、マルシェなどのイベントが賑やかに開催されています。
(4)、こどもまんなか社会を目指して
ここまで市役所自身の改革、市民のための公共施設のあり方についてお伝えしてきました。しかし、これらの動きは真庭市が真庭ライフスタイル実現に向け動きだすための「市役所」の準備運動にすぎません。人口減少社会の到来を迎え、真庭市の大きな使命は、子どもたちのための未来を切り開くことです。しかし、そのためには単なる「市役所」の動きにとどまらす、「まち」と「ひと」と一体となった「こどもまんなか」社会を実現する市民運動を展開する必要がありました。障害を持つ子ども(人)たちへの支援、子どもの元気な遊びを支援する公園整備を合わせて、全市民の力を結集し動き出した真庭市の姿をお伝えします。
みんなで、はぐくむ子育てのまち実現へ
「こどもまんなか」の取組
人口減少、少子化が進行するなか、真庭市では合併以来、さまざまなこども・子育て支援に取り組んできました。少子化が進む今だからこそ、「持続可能な真庭市」の実現に向け、こども・子育て支援施策を市政の最優先政策に位置づけ、真庭市で結婚したい、子どもを産み育てたい、住み続けたいという希望を叶えるために、令和5年度(2023年度)に「こどもはぐくみ応援プロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトでは、これまでのこども・子育て支援に関する事業をパッケージ化し、分かりやすく広く市民に発信。また、地域全体で子どもや子育てを支える仕組みとして、こどもまんなか応援サポーター制度を創設し、市内の企業・団体の意識醸成を図るとともに、定期的に市民アンケートの実施を通じて、共に支え合う風土づくりを進めています。
令和6年4月には市内初の公民協働によるポケットパーク「新町どんぐり公園」が勝山地区に開園しました(他の公園については、52ページに記載)。令和7年度には、学校の長期休暇中に本庁舎を含めた市内公共施設を活用し、子どもたちの遊び場や学習スペースとして開放するなど、子ども目線に立った子どもの居場所づくりに取り組んでいます。さらに、こども園の休園日の園庭開放を順次進め、安心して遊べる機会の確保に力を入れています。
令和6年2月には、市内企業や市民の協力も得て、初の「こどもまんなかまつり」を開催。多くの子どもや、子育て世代が市内外から参加し、真庭市の「こどもまんなか」の取組を発信しました。「こどもまんなかまつり」は継続して開催しており、民間事業者や市民団体の協力の輪も広がり、大学生との連携も進んでいます。また、子育てちゅうの、市民の方に参加いただき、子育て情報や市内の魅力をSNSで発信する「こどもはぐくみくらぶ」を立ち上げ、行政からだけでなく、市民目線での子育て情報の発信にも取り組んでいます。さらに、子育て世代・子育て支援団体・企業関係者との座談会、大学生・高校生との「こどもまんなかユース座談会」を開催し、市民の声を直接聞く機会を設けることで、共感と理解をはぐくむ機運醸成に努めています。
令和6年度に母子と子どもの一体的な相談支援機能を持った「こども家庭センター」を設置。妊娠・出産・子育てを、より切れ目無く支援する体制を整えました。令和7年度からは新たに策定した「真庭市こども計画」に基づき、子どもを大人と同じ「権利をもつ一人の個人」として尊重し、地域や大人が「こどもの権利」を守るという理念のもと、具体的な行動計画を推進しています。
「こどもまんなか」の取組は、動き出したばかりです。未来を担う子どもや若者世代に対して、大人は何ができるか、何をするべきかを1つのテーマとし、市民一人ひとりが自分事として考え、行動していくことが、「みんなで、はぐくむ子育てのまち、まにわ」の実現へとつながっていきます。
「誰一人取り残さない」共生社会に向けて
障害者・児発達発育支援センターの開設
真庭市は、合併前の旧落合町時代に療育訓練の場として、旭川児童院の協力を得て、社会福祉協議会と「たんぽぽ園」を開設、運営していました。合併後も、事業を継続し、子どもの発達・発育に関する悩みや不安を抱える多くの保護者や子どもの支援を行ってきました。また、「たんぽぽ園」の他に「発達支援教室」を市内4会場で開催し、真庭市全域の支援体制を整えてきました。
発達障がいや療育に対して社会的な理解が広まる中で、従来実施してきた「たんぽぽ園」や「発達支援教室」の存在をもっと広く市民に知ってもらい、多くの保護者や子どもの悩みや不安にこたえていくことが必要となってきました。
そうした中で、令和4年(2022年)4月により専門的に発達発育や療育の支援を行うために、保健師、保育士、臨床心理士、発達支援コーディネーターを配置した「障害者・児発達発育支援センター」を開設しました。発達相談、通所支援(グループ、個別)、家族支援の事業を中心に、保育園・こども園、小中学校との連携も深め、保護者のみならず教育、保育現場の相談支援にも取り組み、必要に応じてさまざまな専門機関へつなげるなどの支援を行っています。
また、近年は医療的ケア児への社会的支援も必要とされる中で、令和5年度からは医療的ケア児のいる世帯支援として「医療的ケア児訪問看護レスパイト事業」を開始しました。関係機関の協力を得ながら、保育園・こども園でも医療的ケア児の受け入れができるよう環境整備をしています。
障害の有無にかかわらず、全ての人が自分らしく、生き生きと暮らし続けることのできる「共生の地域社会・真庭」の実現に向けて、課題は多くありますが、一つひとつ丁寧に取り組み、着実に歩みを進めています。
子どもの遊びを支援する
公園の整備
こどもはぐくみ応援プロジェクトの市民アンケートの中で、子育て環境に必要なものに公園・遊び場が挙げられ、魅力的な公園づくりも公共施設としての需要が高く、どんな公園をつくるか、また市民はどんな役割を果たすかの議論が始まり、人々が集い、憩い、遊びを楽しむ、多世代が思い思いに利用できる公園の新設やリニューアルが進んでいきました。
「蒜山高原スポーツ公園」では、令和5年(2023年)9月に「風のパレットHIRUZEN」が全面オープンしました。緑あふれる広大な敷地にクロスカントリーコースや屋外遊具、高原ピアノなどを配し、豊かな自然や風を存分に体感できる公園になりました。
勝山では、令和6年11月にりんくるライン沿いに河川公園「勝山ストリートパーク川夢(RIMU)」がオープン。スケートボード、バスケットボールなどのアーバン(都市型)スポーツを楽しめるようになりました。
「北房ほたる公園」では、住民の意見を反映し令和7年2月にリニューアルオープンしました。「ホタル館」を大幅改装してホタルの特大模型や保護活動の紹介動画などを常設したほか、屋外の大型遊具も充実させ、市内外の幅広い年齢層が集う“ホタルの里”に生まれ変わりました。
「北町公園」(久世)では、地元の小学生が提案したアイデアを取り入れたリニューアル計画が進められています。新しい公共インフラは、市民との協働の中で生まれていきます。
